私が準備する工作は、「作業は簡単、それぞれのアイディアで好きなようにつくる。」が基本です。参加する方が皆、同じくらいの技能を持っているとは限りませんし、それぞれの経験からくる「こんな感じにつくりたい!」もあります。好きな材料を選んで満足できる作品を仕上げてもらえば、その時間は大成功です。
ただ、参加者が5~6人の少人数の時もあれば、10人をこえて私がバタバタしている時もあります。簡単な作業しかできない人もいれば、かなり細かい作業に集中して取り組む人もいます。同じ部屋の中にいろいろな人がいますが、どんな場合でも大きな失敗をせずに完成させてもらうために、その対策を事前にいろいろと考えます。ポップアップカードを例にとって書き出してみます。
注意するところ
①この方法でポップアップカードをつくる時に1番失敗が多いのは、台紙と表紙の貼り合わせです。(→簡単ポップアップカード・作り方⑤⑥)あらかじめ貼ってある両面テープはつい剥がしたくなるようですが、それをやられてしまうと失敗率は100%。「絶対に自分で剥がさないでくださいね。」と、これだけは最初の全体でのお約束です。のりのつけ方なども注意は必要ですが、つけすぎたら拭き取れば良いだけなので、致命傷にはなりません。
②このポップアップカードの作り方に慣れている人達であれば、台紙を複数用意して、好きなものを選んでもらうこともできますが、そうでない場合にはどれが難しいかということもわかりません。そのため、材料の選び方やの手の加え方で、難度を調整していくしかありません。台紙に切り込みを加えたり、貼るパーツの種類を増やせるように準備しておきます。
③作業をする机や部屋の広さも様々です。ある程度は決まった手順で進めなければできないところと好きなように作っていて良いところもある中で、材料や道具をどのタイミングで出していくかは1番難しいところです。その工作の時間がうまく楽しく流れていくようにと、一生懸命頭の中でシミュレーションしています。
海の中の風景
青い色画用紙を使って、夏休みの小学生向けに考えました。最初から海の中を思わせる台紙なので、いろいろ作って貼り付ければ完成。低学年でもできるはずです。色画用紙は今まで使っていたくるみ上質紙やケント紙に比べて張りがなく弱いので、あまり複雑な切り込みは入れませんでした。(A)
でも高学年になったら、これでは物足りない子もいるでしょう。仕組みを理解して、自分で切り込みを入れ、凹凸を増やしてもらいます。(B)
これまでは「黒い線は切る、赤い線は折る」と説明して来ましたが、色画用紙にすることで線の色がわかりにくくなってしまうので、折る線は赤ではなく点線に変えました。

(A)

(B)
場所は公民館の工作室、広さに余裕があるので、工作台をひとつくらい材料コーナーにしても良いかと思います。誰でも使いそうな基本的な材料は各机に配りますが、「使えたら使ってね。」のいろいろは固め置きして、自由に取りに来てもらいます。小学生の頭の中は私の数倍も柔軟ですから、何が目に留まるか予想もつきません。今回は台紙が青いので白いシールや白い紙に自分の手で描いたものも、結構映えるのではないかと思います。
部屋の広さに余裕があり、参加者が自由に動ける時には、「材料コーナー」は良く使う手です。
秋のおいしいもの
これは、高齢者向けのものづくりで扱うことになりました。秋の味覚をベタベタ貼っていくだけなので失敗は少なく、いろいろバラエティーに富んだ作品も出て来そうですが、今回は材料の種類が多い上に、中には形が作りにくく型紙が必要なものもあります。作業スペースも広いわけではないので、作業を進める手順や材料を配るタイミングなど、かなり考えないとぐちゃぐちゃになりそうです。
台紙は特に手を加えずに同じものでいきますが、「おいしいもの」の種類を少なくするか増やすかで難易度は変えていきます。この作品は、「秋のおいしいものをいっぱい入れる」という発想でスタートしたので、フルバージョンの見本には、さつまいも、栗、かぼちゃ、きのこ、柿、ぶどうが入っています。(A)
自分でどんどんパーツの形を作れる人は何を入れても良いけれど、ひとつひとつの作り方を迷っていたらすぐに疲れてしまいます。そこで簡単バージョンを作ってみました。(B)
秋の味覚はどんな形に切ってもそれっぽく見えるさつまいもと準備されている材料を切ればできる栗やどんぐりだけ、柿も簡単にいけそうです。(C)
作りやすいものにしぼって、その数を増やして配置してみました。

(A)

(B)

(C)
いも、栗、そして柿は基本材料、それに動物を加えたらもう机の上はいっぱいになってしまいます。材料コーナーを作るスペースはなさそうなので、ぶどうやかぼちゃ、きのこの材料は作りたい人に直接お渡しする形にしようかと考えています。
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