つくりたいものを作る(ひなまつり工作)

材料のアイデア

ひなまつり工作いろいろ

 「おひなさまを作りたい。」というリクエストは良くあります。しかし、工作ネタを考える私にとってはこれが簡単ではありません。それらしく作るにはどうしても細かい作業になるし、配置が決まっているものです。自分のアイディアで好きなように作れる部分が少ないのです。「みんなちがって、みんないい。」が大好きな私には、苦手なテーマです。

①折り紙のおひな様
 初めて作ったひなまつり工作です。黒い台紙に屏風のイメージで千代紙を貼っておき、折り紙で折った男びなと女びなを飾りました。花を散らしたら完成。とっても短時間で終わりました。ほとんどの工程は決まっているので、おひな様を折る千代紙を選ぶことと花の貼り方くらいしか工夫できるところはありませんでした。

   

②パズル
 おひな様を思い切り単純な形にして、パズルの図案にしてみました。三人官女や五人囃子も入れてみます。でも、好きな場所に配置するわけにもいかないし、パズルとしては超簡単。切り分ける意味があるのだろうかと自分が迷ってしまいます。

③ポップアップカード
 おひな様の雰囲気を再現するだけなら、まあまあだったのはポップアップカード。出し入れ簡単、ひなまつりが近づいたら、玄関やリビングの小さなスペースに飾るのにちょうど良い作品です。でも、おひな様の着物柄を選ぶことや背景の花くらいしか、工夫できるところはありません。

 

つくりたいものを作る楽しさ

 現在、「ひなまつり工作」の真っ最中。ポップアップカードはすでに60人以上が作っています。形や大きさが決まってしまうひな壇や屏風などのパーツは先に作っておきましたが(→簡単ポップアップカード・貼り付けポップアップ)、それでもひな壇を立てるまでの作業は高齢者には大変でした。間違えられない上に面白くもない作業です。「ひな人形の着物柄を選んでください。」というあたりでやっと表情が緩んで来る人が出始めます。顔を描いたり背景を飾り始めると、「ここをこうしたい。」「こんな感じに作りたい。」「これはどう?」「あなたのを見せて。」と、会話もどんどん弾みます。決まっている通りに作るのではなく、自分で作りたいように作るから楽しいんですよね。「みんなちがってみんないい。」です。
 この後、ひなまつり工作を予定しているところもありますが、ポップアップカードは去年も作っているし、もっと自由に工夫できることをやりたいです。そこで、困ったときの強い味方は近所の子供たちとお母さん。何かもっと違うアイディアをもらえるのではないかと他の材料も投入して作ってもらいました。が、こどもは「ひな人形の飾り方」なんかより、材料を見てひらめいた使い方、思いついた発想に向かっていくんですね。「ひなまつり」から離れていっても、とにかくできあがる作品が面白いです。やっぱり、最初から配置は決めないで、使いたくなる材料を揃えるべきだと思いました。

 

 また、「これを作りたい。」という気持ちが最優先だということも、良くわかりました。男の子3人のお母さんの作品ですが、下の段の3人は三人官女ではなく子供達、「家族」だそうです。その発想がとってもステキ、三人官女の髪、男の子っぽくカットしても良かったですね。

 

小中学生の作品を見て

 先日、千葉市美術館に行き、千葉市内の児童や生徒の図工・美術の作品展を見て来ました。中学生の作品は以前よりも小型化してしまいましたが、授業数も減っており、時間をかけて制作する機会もないのだと思われます。小学生の作品は、かなり大きなものが所狭しと並んでいました。「クラスの全員がこの大きさを作ったとしたら、その時間の教室内はどうなってる?」と疑り深い目で見て考えてしまうのは授業をやってきた私の習性ですが、各校の代表として出て来た作品は見ていても面白く、作者の気持ちのこもったものがたくさんありました。「つくりたいものを作ること」は大事だと、つくづく思います。
ひとつだけ、考えさせられたことがあります。小学生の作品を見るたびに感じる接着方法の問題です。かなり強引に大量のボンドで固めてあったり、ベタベタと貼られたセロテープが見えるようなものがあります。見た目はもちろん良くないのですが、そうなってしまうのは技術的なことだけではなく、「こうやって(こんな角度で)くっつけたい。」という思いの方が優先するからではないかと思われるのです。紙の上に乗せていく平面作品と違い、空間の中で形をつなげていく立体作品は、接着方法や重力を考えなければいけないし、「できないこと」「難しいこと」があります。自分の作りたいイメージと折り合いをつけるのも大変ですが、作っているこどもが自分で考え、工夫して仕上げていくのなら、とても有意義な経験だと思います。

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