美術館に行ってみましょう

絵を始めたい方

 今日は千葉県立美術館に行ってきました。美術館のコレクション展ですが、先週あたりの新聞で「浅井忠」の名前をみつけたので、絵も展示されていることを期待して行きました。同じ絵を何回も見ているのですが、見るたびに「良いなあ。きれいだなあ。」と思います。明治初期の画家が好きだというくらいだから、私の絵は保守的で斬新さに欠けるのかも知れませんが、好きなものは好きなので。「こういう感じが好き!こんな風に描きたい、作りたい。」は大事なことだと思います。ちなみに、美術館の入り口に立っている銅像は「浅井忠」です。知らない人が多いようです。

 

 

ある公募展を見て

 千葉県立美術館はコレクション展の他にも、貸し出しの展示室があるのでいろいろな展示が見られます。その中のひとつ、これまでにも何度も見ている、ある公募展の印象です。

①以前は写実的な作品が多い感じがしましたが、内容がとても広がっていると思いました。いろいろなテーマや表現方法があって面白いです。同じ人の作品は、どうしても似たようなものを描いている場合が多いのですが、それが「好きなもの、描きたいもの」なのでしょう。私だって巨木ばかりを描いているのだから同じです。大学の同期の作品がありました。作品を見たら、そのまま「学生時代の顔」が浮かびました。人って変わらないですね。

②画材もいろいろです。アクリル絵の具の作品が増えたと感じましたが、油彩と並んでいても、遜色はありません。乾きも早いし手軽で使いやすい絵の具ですから、特長がわかっていろいろ工夫ができれば、描きたいものがどんどん描けると思います。ミクストメディア(複数の画材の組み合わせ)もあり、何を使っているのかとか、どんなキャンバス(紙)に描いているのかとか、近くで見るのも楽しいです。キャプションには題名や作者名と一緒に、どんな画材で描いているかも書かれているので、これから絵を描いてみたいと思う方にもわかりやすいと思います。こうした展示をたくさん見ているうちに「自分の好きな感じ、描きたいもの」がはっきりしてくるかも知れません。会場当番としてその会の方がいてくれますから、気になったことがあれば聞くこともできます。

③高齢になってから描き始めた方も、まだ経験の浅い方もいらっしゃるそうです。でも自分に合った表現方法をみつけ、描いていて楽しいという気持ちがあれば、どんどん挑戦もできるのだと思います。

 

表現すること

 ある先生のお話をうかがうことができました。教員としても大先輩にあたる方です。自分の中でもやもやとしていた部分が、かなりはっきりしたのでまとめておきたいと思います。でも書いているうちにぐちゃぐちゃになりそうなので箇条書きです。

①絵の描き方にきまったものがあるわけではなく、「何を描きたいか、どんな感じに描きたいか。」を自分の中に持っていることが大事だと思います。子どもたちが夢中で作った作品は、どれもおもしろいです。でも、小学校の高学年くらいになると写実的に描くことに価値を感じ始め、また、周囲の評価も気にし始め、中学生になる頃には描くことが苦手であったり、「何を描いて良いかわからない。」という子もいました。「表現を楽しむ気持ち」がどこかに行ってしまうのは残念です。

②生徒には良く言いました。「うまい絵と良い絵はちがうよ。」一生懸命描いた絵は、多少形がくるっていても、「良いなあ。」と思わせるものがあります。自信を持って楽しく描くために、いろいろな画材や表現方法、形の見方などを紹介しますが、それはひとつの手段であって目的ではありません。自分の表現したいことに合わせて取り入れれば良いのです。生徒がバラバラなことをやっている授業ほど嬉しいことはありません。中学生はお互いの制作から柔軟にいろいろなものを吸収し、あえて教えなくてもできることは増えていきます。

③でも、美術の授業はこの30年ほどの間にどんどん減ってしまいました。週にたった1時間(50分)の授業を20クラス(800人)も担当している先生もいます。ひとりひとりの表現する力を伸ばしてあげたくても、それが許されない現状もあります。美術の先生がいない学校も増えました。大人になってから始めたいこと(生涯学習)として絵画や工芸などはかなりの割合を占めると思いますが、義務教育での経験が乏しい人がこの先は増えていくような気がします。

④美術的なものに限らず、何かを表現することや作品を作ることは楽しいです。最初は時間を持て余して始めたようなことでも、うまくできたらどんどん前に進みたくなります。人にも見てほしくなります。コロナ禍で自粛を強いられても、その時間を前向きに使う人も増えました。今や人と会わなくてもそれを発表する場はありますから、ネットの中にはいろいろな作品があふれています。 

⑤「最初はデッサンですか?」と絵を描きたいという方の多くがそう聞きます。それがセオリーかも知れませんが、技術的なことばかりでは行き詰まる人もいるかも知れません。まずは、自分に表現したいものがあることが大事で、そのために必要だと思う知識や技術から身につけていけば良いのではないかと私は考えます。描くこと、作ることが楽しければ、自分でいろいろな挑戦や工夫もしたくなります。私はそんなパワフルな高齢者をたくさん知っていますし、年代を問わず「描いて(作って)いて楽しい。」が一番だと思います。

⑥それでも「写真みたいに描けるようになりたい。」という気持ちを持つ方はいると思います。当然、描写力をつけるための基礎的な練習は必要になりますが、それでも「描きたいもの」はしっかり決めておいた方が良いと思います。何でもうまく描けるスーパーな人はなかなかいません。好きなものをくり返し描くからうまくなり、それがその人らしい作品になるのだと思います。私も木しか描けません。

⑦美術館やギャラリーの展示をいろいろ見ていると、全体に作品の雰囲気が似ているものも見かけます。先生の技術を習得することが中心になっているのかも知れませんが、「教えてもらって描く方が良い。」と思えばそこに飛び込むのも良いでしょう。また、画材や表現方法も違ういろいろな作品が並んでいる場合は、たくさんの刺激やアドバイスをもらって自分のできること、自分の表現方法も広がっていきそうです。自分で考えたり工夫するのが好きな人は、そんな仲間に入るのも楽しいでしょうね。

⑧結局うまくまとめられないのですが、これは私の考えです。人によって考え方はさまざまなので、「なるほど!」と思う意見を取り入れたら良いでしょう。だからこそ、いろいろな作品展示を見たり、体験をして自分の肌で感じることは大事だと思います。ネットの中の画像ではわからなかったこともきっと出てきます。
 そろそろ行動範囲を広げたいですね。何かを表現するのは楽しいですよ。

 

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