50号が完成しました 2

とものつぶやき

 60代あるあるだと思うのですが、身体は若い時ほど無理が利かなくなっているのに、家庭内のこと、多少であっても仕事のこと、自分のやりたいこと、いろいろあって忙しい。集中して絵を描ける時間も減りました。だからと言って、「納得できないやっつけ仕事」はしたくないので、50号は毎年1枚、県展出品用に描くことに決めました。隙間時間をみつけては、とにかく描きます。半年近くかかってしまいましたが、やっとできあがりました。

 昨年の6月にせっせとスケッチに通った「宝善寺の椎の木」です。夏前に木の下描きを完成させ、夏を超えて涼しくなってからもう一度スケッチに行き、9月半ばから再スタートです。 (→スケッチに行きました6

①最初に明るく見せるための地塗りとして、レモンイエローを塗りたくっています。アクリルガッシュは塗り重ねていけば先に描いたものは隠せるので、まず背景の鐘楼から描きました。実際には枝で隠れてしまっているので見える所のスケッチをつなぎ合わせて色を置いています。大きく拡がる枝は遠くに伸びていくものもあれば、鐘楼の屋根にかぶっているものもあります。鐘楼も枝も8~9割の仕上がりというところですが、全体を描き進めてから後でまた修正です。(10月25日)

②木の形をつかむのに、ほぼ1ヶ月。葉がしげっていて見えない所が多いので、あちこちの枝の吹き間から覗いて、「多分、こんな風になっているだろう。」という想像の形です。画面が大きいので、5~6時間続けて描いても一部分しか描けません。色も決めかねているので、その時の気分で色もバラバラです。(11月22日)

③木の幹を描き込んで、形を整えていきます。根の張っている地面も描いたら、どう描きたいかもぼんやりですがまとまってきました。かなり寒くもなってきたので、葉も少なくなって隠れていた幹も見えるだろうと木を見にいったところ、想像で描いていたものと全く違いました。凍える手でスケッチしてきて大手術。木の幹は8~9割仕上がったので、後は葉を描きながら整えていきます。(12月9日)

④ひたすら葉を描いています。幹を大きく入れたので、当然こちらに伸びてくる枝葉の形はしっかり描かないといけません。気をつけて描いているつもりですが、つい観念的に描いてしまい、不自然さが出てしまいます。近くで見るととても葉っぱには見えず、また、その形がはっきり見えすぎるのも嫌なので、描いたものをわざとぼかすようにしています。上の方の枝はかなり茂ったので、太い幹の周辺をこれから描き進めます。幹のどっしり感を出したいので、葉は少なめにするつもりです。(1月14日)

 

⑤幹のどっしり感やしっかりと根を張った感じを強調したいので、葉を描きすぎないように我慢しました。実際に茂っている枝葉を描かないということは、その後ろにある幹を描かないといけないということです。葉が多いよりも少ない方が大変、自分の頭で理解している椎の枝の形をバランスを考えて入れて行きます。自分の筆で描いたタッチ(筆触)がそのまま残り、ごまかしが利きません。
 ただ、写真から離れて枝を描いたことで、画面の中に流れや動きが作りやすくなりました。地面に大きく拡がって根を張っている感じ、大きくねじれながら伸びていく幹をはっきりと見せたかったので、先に描いた鐘楼や遠くの枝は消していくことになりました。
(2月4日)

 

 突然気になって、手直しする部分もあるかも知れませんが、とりあえずは完成です。自然光の入る明るい部屋でゆっくり見ないと、それも出てこないと思います。情けない話ですが、時間に追われてあせる気持ちばかりが出てきて、頭の中は「早く次の作品を描き始めないと!」でいっぱいです。今後、自分の時間はどんどん足りなくなりそうで、「先にできることは先に終わらせておく。」が一番の精神安定剤。作品を描きため、工作ネタも絞り出しておきたいと思います。

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