小中学生の作品を見て・・(続き)

とものつぶやき

小中学生の力作が並んだ展覧会を見に行って、その感想の続きです。(→小中学生の作品を見て)図工の授業、美術の授業、その経験は一生ものと書きましたが、思うところをまとめます。

 先日、1歳半の孫を預かりました。クレヨンでぐるぐる画用紙に描くのがお気に入り、途中で別のクレヨンに替えたりするのですが、色の違いはわかっているのか、そもそも「描いている」という意識があるのか。でも自分が手を動かして紙の上に線ができていくのは楽しいのでしょう。もう少し大きくなって言葉もたくさん喋るようになったら、そのぐるぐるを指して「みかん」とか「ニャンニャン」とか言うのでしょうか。

 あるデイサービスの工作指導で100歳のおばあさんに会ったことがあります。作業はとてもゆっくりでした。紙のパーツを並べたり、また戻したりしているので、やり方がわからないのかと声をかけようと思ったのですが、真剣な顔で色選びをしているようにも見えたので様子を見ることにしました。そのうちに選んだ色のパーツをゆっくり丁寧に貼り付けて、他の方達よりもかなり遅れてしまいましたがきれいに完成させました。そして私の顔を見て、「パープルでまとめてみたんだけど、どうかしら?」と。100歳から発せられたパープルという言葉に思わず面食らってしまいましたが、センスの良い色選びをしていることに感動しかありません。

 1歳半も100歳も、同じように良い顔をしています。色や形を駆使した創作活動は、特別な知識や技術よりも「描きたい。作りたい。」の気持ちで成立するものではないかと思います。気持ちさえあれば誰でも楽しめるものづくりである反面、「描こう。」と思わないとほとんど絵なんて描かないで一生終えるかもしれません。そんな創作活動を9年間、すべての人が経験するのが図工・美術の授業です。

 教科書はあるものの内容や指導方法は各校さまざまです。でも、できることならその経験を、より多くの児童や生徒が「またやってみたい。」と普段の生活や将来につなげていくようなものであってほしい。色や形は生活の中で当たり前に目にする視覚情報、様々な描画材料やはさみや接着剤なども簡単に手に入ります。授業で教えられた知識や技術が多くはなくても、それに興味を持って描くことやつくることを楽しいと思えたら、いくらでも広げていける環境です。苦手意識を持ったり、ただ成績のために作るのはもったいないです。

 生涯学習という言葉が定着し、大人になってからも生活の中に時間の余裕ができた時、何かを始めたいと思う人が多いようです。絵画や陶芸など図工・美術の延長にあるものは、それなりの割合を占めますが、「やってみようかな。」という気持ちの裏には楽しかった思い出やうまくできた成功体験もあるのではないかと思います。定年後の60代、70代でスタートしても素晴らしい作品を作ることができる・・。気持ちで成立する創作活動ですから、やる気次第です。

 授業でどんな内容を扱うべきなのか、何が正解なのかはわかりません。ただ、少ない授業時間の中で、児童や生徒全員にある程度の経験をさせ、それなりの成果を期待するならば、大きな作品を時間をかけて作るのは難しい気がします。人数の多い学校では作品の置き場所など、物理的に無理な問題も出てくるでしょう。「素晴らしい見応えのある作品」と「子ども達みんなにとっての良い授業」は別のものだと思います。

 でも、素晴らしい作品作りにつながっていくスタートやきっかけは、小中学校での授業です。普段は絵など描かない子どもでも授業での経験を「面白い。」「楽しい。」と感じるかも知れないし、何を作ろうかと考えることで自分の「好きなもの」にも気づきます。すぐに、図工・美術が大好きにならなくても、いつかの「やってみようかな。」につながれば充分です。

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