あえて余白を作ります

とものつぶやき

 久しぶりに風景でも描こうと思ったのですが、2月が終わる頃からが寒いし、花もなかなか咲きません。風邪だか花粉症だかわからない体調不良にも悩まされ、モデル探しやスケッチもままならないうちに、月2~3回しかない水彩画サークルの日になりました。何の準備もないので、持っていた写真資料から適当に選んで下描きをし、「ピンクを使う。」という目的だけ決めて出かけました。となりで描いている方がいろいろな色を使っていて、せっかくなら参考にしようと思ったからです。しかし、はっきりしない頭で選んだ写真は完成のイメージが全く持てず、どんどんおかしくなりました。ピンクや赤紫など普段使わない色の面積が増えて来ると、そのうるさいほどの存在感に収拾がつかなくなり、途中でギブアップです。

 

 それでも、ピンクや紫を緑と合わせてみて、何となくまとめられるような気がしたので、もう1回、写真資料を探してみました。朽ちてしまった切り株の周りに伸びてきた春の草と去年の枯れ葉の組み合わせが、とても面白くてきれいだったのでそれを採用します。林の中なので、背景もごちゃごちゃといろいろなものがあったのですが、描くのをやめてみました。春の雰囲気だけ、出せたら良いと思いました。

    

 これが、家族には好評でした。「切り株を主役って良いかも。」と、続けて他の写真も探して描いてみました。背景はできるだけ描かずに切り株とその周辺の緑だけは描き込みましたが、余白(背景)の処理が意外と楽しいです。見えるとおりに描かないで、主役を引き立てる程度に抑える。私はついつい、画面全体を描きすぎて窮屈な絵にしてしまう傾向があるので、これは良い勉強になると思いました。あえて余白を作ります。

 
 迫力のある大きな木は大好きですが、春限定で好きなものが切り株です。もうすっかり朽ち果てているようなのに、春の陽を浴びて新緑の葉っぱに囲まれている姿からは「今年もまだまだ元気だよ。」という声が聞こえてくるような気がします。私は花も上手に描けないし、果物や食器、人形などにもあまり心が動かなかったのですが、「切り株はあり!」です。風景画というより、静物画のつもりで描いてみようと思います。
 写真よりも、実物の切り株さがし。家からそう遠くもない自然公園に出かけます。

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