最初の頃は写真に見える色をアクリルガッシュで再現していました。かなりリアルには描けるのですが、作った色を塗り重ねていくだけなので、何となく色調が単純で作り物感がありました。そこで、色数をしぼってモノトーンに近い形で描くことにしました。これはまあまあ成功で、画面全体の雰囲気がまとまるだけでなく、立体感や遠近感も出しやすいので描いていても楽しかったのですが、モデルさんの存在感に頼るところが大きく、近くに「描きたい木」もみつからなかったために行き詰まってしまいました。もっと色を自由に使いこなして自分のイメージで画面も構成していかないとだめだと思いました。
それからが試行錯誤です。大きな画面で試す勇気はないので、画面を小さくしていろいろ試しています。描いている対象物が小さければ、画面の中に自由に配置もできるのでしょうが、どっしりした太い幹としっかり根を張っている地面ははずせないので、背景や枝の描き方を工夫するしかありません。今までは白を多めに加えて遠く見せていた背景に、最近は透明水彩を使うようになりました。ぼかしたりにじませたりして自分がきれいだと感じる背景を作ってしまい、それに合わせて主役の木も描いていくという方法です。儀林寺の椎の木も、練習してみました。
とにかく四方八方に広がる枝の分かれ方が葉で隠されて見えないので、困っています。幹をしっかり描き、見えている枝は遠くに見えるよううすく描いたままにしました。どうせ試しです。写真などで形はわかるから描きたいのを我慢してほったらかしにした所がかなりあります。この作品はB4サイズですが、これくらいの大きさならこの感じも悪くはありません。
画面を大きくしたら描いていない所は目立つと思うので、枝のつながりは考えながら、もう1枚描きました。構図がほぼ同じなので色味を変えてみました。前の作品より描き込んだので葉の立体感などは出ましたが、色は何とも・・。まだまだ、いろいろ試します。やってみないとできることも増えません。
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