50号が完成しました

とものつぶやき

 昨年末から描き始めたF50号の作品が、ほぼ完成しました。その佇まいに一目惚れした「儀林寺の椎の木」です。

 私のアクリル画の描き方は、塗り重ねが簡単な絵の具の特徴を利用して、後ろにあるものから描いていきます。より近くにあるものをどんどん重ねて描いていくので、最終的には複雑な絵に見えますが、技術的にはあまり難しいことはないと思います。(→キャンバスにアクリル絵の具

①最初に明るく見せるための地塗り、レモンイエローを塗り、主役の木の形を大雑把につかみます。この時、幹のねじれ感や枝の伸びていく方向だけはきちんと確認します。
 まずは遠くの山々や田畑を描き、次に大木を囲む茂みや杉の木を描きました。そして主役の木も遠い方向に伸びていく枝から描いていきます。

 

②木全体の形をしっかりつかみます。うろの周辺はたくさんの小枝があり、葉が茂って良く見えないのですが、葉が少なくなった12月にも見に行って確認した形は、こんな感じでした。各部分ごとのスケッチや写真を見ながら、根元から枝先までの木の流れが自然になるよう、細かく描き込んでいきます。右上前方に伸びてくる枝はもっと長いのですが、枝の分かれる部分の形が面白かったので少し短めにして強引に画面の中に入れました。私の気分によって木の形を変えてしまうことは多少はあります。
枝が重なり合っているので、後方の枝は葉を描いてしまい、その上に手前の枝を描きます。

 

③横方向に伸びている枝には、葉もついてきました。木の幹を仕上げ、同時にその木が根を張っている地面も描いていきます。これから、手前に伸びてくる枝を描き始めます。

 

④うろの周りに葉が茂って完成!だったら良かったのですが、そう簡単にはいきません。かなり気を遣いながら描き進めているのですが、所詮「大きな画面の一部分を描き込む」のくり返しなので、必要なものを全部描いてみてもバラバラ感は否めません。何よりも強引に入れた一番目立つ枝がゆがんで見えました。③まではとりあえず幹とつながっていたので気づかなかったのですが、連結部分が葉でかくれてしまうと、あまりにも不自然な形です。その枝はもうべったりと塗りつぶし、もう1度描き直すという大手術。他にも色を強めたり、落としたり。不自然に目立つところをひとつ直すと、また他の場所がおかしく見えるということで修正をくり返して何とか落ち着いた感じ、塗り重ねながらの修正がいくらでもできるというのが、アクリル絵の具のありがたいところです

 

 儀林寺の椎の木は、それほど大きな木ではありません。でも、坂道を登って行き着く境内のはずれに立ち、広がる田園風景を見下ろす佇まい。多方向に伸びていく枝の創り出す特別な空間は、「これは描きたい!」と思うものでした。枝の広がる空間とこの木が見ている田園風景も描きたかったので、木の幹が小さくなってしまい迫力には欠けるかも知れませんが、結構気に入った仕上がりにはなりました。

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