キャンバスにアクリル絵の具

絵を始めたい方

 昨年末からF50号の大きなキャンバスに描き始めました。50号を描くのは4年ぶり、さらにキャンバスに描くのも2年半ぶりです。大きな古木をモデルに何枚か描き(→巨木作品集)それなりに作品らしくはなっていたのですが、その木を中心にした風景の写実が精一杯で、描きたい木がみつからないと描けません。もっと自分で絵を作っていかないとだめだと考え、木の背景をいろいろ変えてみたり、画材を工夫してみたりの4年間でした。昨年ようやく、「これは大きく描きたい。」と思う木がみつかったので、何枚も習作した後の大画面です。
 久しぶりのキャンバス、絵の具はアクリルガッシュだけで描いています。多分、完成するのは半年近く先です。以前、友達に「途中が見たい。」と言われたのを思い出し、あえて、どうしようもない途中作品を撮ってみました。

 

①なぜ、アクリルガッシュだけで描いているかと言えば、水彩紙に広がっていたきれいなぼかしやにじみなどの技法がキャンバスでは使えないからです。アクリルガッシュだけで描くと私の技術では、微妙な色合いが出せずに作り物感が出てしまうので、使う色を制限してモノトーンに近い色調で描いています。

②アクリルガッシュは乾いたら落ちないので、塗り重ねは楽です。その特徴を生かして、徹底的に遠く、後ろにあるものから描いていきます。どんどん手前にあるものが重なっていくので、完成すると複雑な空間が再現できます。最初に遠くの山々、広がっている田畑を描き、更に大木の周りをかこむ茂みを描いて背景がほぼ完成。木の枝が四方八方に広がっているので、遠い方向に伸びていく枝を描き始めたところです。主役の木は大雑把に形をつかんだだけになっています。

 

③葉っぱばかりが重なるので、遠い葉は白を加えて背景に同化させ、近くにある葉ほど色味がはっきりするように描いていきます。

④木や地面の色が、黄色っぽいのは最初にほぼ全体にレモンイエローを置いているからです。全体の色調をまとめて暖かい色合いにしてくれます。アクリルガッシュは不透明で下の色を隠してしまうので、あまり下塗りの効果はないのですが、それでも白っぽい明るい色で遠景を描いていく時には描きやすくなります。木の幹などは暗い色を何回も練り重ねていくので、黄色は完全に隠れてしまいます。


アクリル絵の具はいろいろな使い方ができるので、私の描き方はひとつの例に過ぎません。絵の具の特徴がわかれば、それを活かしていろいろな表現方法がみつけられると思います。

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